「あ! さんやっと来た!」 「飾りってこんな感じでいいですかー!」 「座布団から引っ張り出したけど綿はこれで足りますかー」 「会場全体の飾り付け見てくださーい」 「端切れは蝶結びですかー」 「この作業ってお駄賃出ますかー」 「神様のお誕生日祝いの料理ってどんなのですかー!」 「ナメクジさんもお祝いに連れてきていいですかー」 「やめなよ…」
まさしく混沌と化した場を治めるように何度か手を叩き、はどうにか低学年達を静めて回った。
「はーい君たちちょっと黙る、順繰りに答えるから口々に言わないように! で、まず何?」
「この作業お駄賃は出ますか!」
「やっぱりまずそれが来たか! 出ません!」
「えー」
「清々しいほどの仏頂面をありがとうきりちゃん。プレゼント交換の企画ならあるからそれで我慢なさい」
「もらうだけならいいけど交換じゃなー」
「よしなってば…」
「えーところで君たちにすばらしいお知らせがあるわよ…学園長からのお達しで、期間中に割り当てられた準備が終わらなかったクラスは一時間ごとに一日冬休みが減るそうでーす」
『ええー!』
「お黙れ! 私も先生方も反対したわよ! 負担が増えるばっかりだから冗談じゃないっつうのよ!
…なのに…いつの間にか勝手に決められてて…」
「あー…」
「忙しいんだよきっと」
「年の瀬だもんな」
「気の毒だからあんまり文句言わないでおこうか…」
「がんばれば終わるだろうしね」
「おれもバイト入れる予定だし、冬休みは惜しいなあ。頑張るか」
「ぼくも家を手伝わないと」
「冬場は大変だよな炭屋は」
「いや、先生達のほうが一過性の分半端じゃないと思うよ」
「庄ちゃん冷静…」
さしもの低学年、ことにトラブルメーカーで評判の一年は組ですらも、動き詰めで疲労が溜まった事務員の深い溜め息には同情を禁じ得なかったという。
「忍術学園の職員は頭痛が持病って本当なのね…みんな大袈裟だなあと思ってたら」
「土井先生は胃痛でーす」
「いや原因君達でしょ?」
「よし、じゃあ質問のあるやつはさんの前に一列縦隊で並べー! 平和な冬休み確保のためにも先生方の体のためにも、気合い入れていくぞ!」
『おー!』
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